雨風を直接受けるような屋外へ防犯カメラを設置する場合、ポイントになるのがカメラの防塵・防水性能です。防塵・防水性能はIP〇〇という形で示され、屋外使用の場合IP66以上の等級を備えたものが推奨されます。本記事では、IP66の意味や性能、屋外向け防犯カメラの選び方、加えてIP規格以外に注目したいポイントなどもご紹介します。
1. IP66とは
IP66とは、IEC(国際電気標準会議)およびJIS(日本産業規格)が定める防塵・防水性能を示す国際規格、国内規格による等級の1つで、「耐塵(粉塵の侵入に対する完全防護)と、あらゆる方向からの噴流水にさらされても有害な影響を受けない防塵防水構造」ことを意味します。雨や風により巻き上げられた土埃などが直接当たるような屋外へ防犯カメラを設置する場合は、IP66以上の防塵・防水性能に優れた機種を選定すると安心です。
「IP」とはIngress Protection(侵入に対する保護)の略であり、IP規格はスマートフォンやカメラをはじめとした電気製品などの防塵・防水性能を示す規格として世界中で使用されています。IP規格において防塵・防水性能は2桁の数字で表され、1つ目の数字が防塵性能、2つ目が防水性能を示しており、いずれも数字が大きくなるほど性能が高くなります。
2. 防塵・防水のIP規格
電気製品などの防塵・防水性能を示すIP規格。防塵性能は0~6の7等級、防水性能は0~8の9等級が定めらており、その等級により粉塵や水からの保護の程度が異なります。
防塵の保護等級
IP規格の内、1つ目の数字で示される「防塵性能」は、ちりやほこりといった固形状の異物の侵入に対する保護レベルを表しています。防塵性能は0~6の7等級に分かれており、数字が大きくなるほど保護性能は高くなります。
外部からの異物の侵入に対する保護が全く行われていない状態が0等級です。1~4等級では目視できる程度の固形物の侵入を防ぐ保護がされた状態を示します。5等級はちり、ほこりといった目では見えづらい細かな固形物の侵入も防ぐ性能を持っています。最高等級の6等級は、完全な防塵構造であり、非常に細かなちりやほこりも内部に侵入しない防塵性能を備えていることを示します。
第1特性数字 | 説明 |
---|---|
0 | 保護なし |
1 | 直径50 mmの固形物が内部に入らない |
2 | 直径12.5 mmの固形物が内部に入らない |
3 | 直径2.5 mmの固形物が内部に入らない |
4 | 直径1.0 mmの固形物が内部に入らない |
5 | 防塵(機器の正常な作動、安全性に影響を与えるレベルの粉塵が侵入しない) |
6 | 耐塵(粉塵の侵入に対する完全防護) |
防水の保護等級
IP規格の数字の2つ目の数字で示される「防水性能」は、水などの液体の侵入に対する保護レベルを表しています。防水性能は0~8の9等級に分かれており、防塵性能と同様に数字が大きくなるほど保護性能は高くなります。
0等級は水に対する保護が全く行われていない状態です。1~3等級までは特定の方向からの水滴に対する保護がされた状態を示し、全方向からの飛沫に対する保護がされたものが4等級となります。5、6等級はあらゆる方向から直接水を浴びても有害な影響を受けないレベルの保護が施されている状態で、6等級は5等級と比較してより強い水流への耐性があることを示します。水中でも使用が可能なレベルの機器・器具は7、8等級となります。
第2特性数字 | 種類 | 説明 |
---|---|---|
0 | - | 保護なし |
1 | 防滴I | 垂直に滴下する水に対して保護されている |
2 | 防滴II | 15°以内で傾斜しても垂直に滴下する水に対して保護されている |
3 | 防雨 | 60°以内の散水に対して保護されている |
4 | 防まつ | あらゆる方向からの水の飛沫に対して保護されている |
5 | 防噴流 | あらゆる方向からの噴流に対して保護されている |
6 | 耐水 | あらゆる方向からの暴噴流に対して保護されている |
7 | 防浸 | 規定の圧力、時間で水中に沈めても影響がないように保護されている |
8 | 水中 | 製造者によって規定される条件に従って、潜水状態での使用に対して保護されている |
3. 防犯カメラを屋外に設置する場合の選び方
屋外に設置される防犯カメラは、屋内設置の場合と異なり、変化の激しい自然環境に24時間365日さらされます。たとえ雨風の強い荒天であっても屋内に退避させることができないだけでなく、その間の映像を撮影することも重要な役割となるため、厳しい環境下でも安心して継続運用できる防塵・防水性能を備えた機種を設置するようにしましょう。
日本は台風や近年増加傾向のゲリラ豪雨時など大雨が降りやすい気候であり、また、屋外では土埃などの微粒なちりが浮遊していることから、屋外設置用の防犯カメラはIP66以上の防塵・防水性能を持ったものが望ましいと言えます。
建物のひさしの下といった直接雨風が当たりづらい場所では、IP55でも対応可能な場合があったり、周辺からの雨などの強い水流が当たるケースとしてはIP66、更に短期的な水没などの可能性が考えられる場合にはIP67、IP68に対応した機種が必要となります。
設置する環境で必要になる防塵・防水性能を見極め、それに適した等級のカメラを選定してください。
4. IP規格以外に注意したいポイント
防犯カメラの屋外への設置を検討する場合、カメラ本体のIP規格に加えて注意すべきポイントがあります。
ケーブル接合部やオプション設備の防塵・防水性能
屋外に防犯カメラを設置する場合は、カメラ本体はもちろん、カメラと合わせて設置するネットワーク配線などの防塵・防水性能にも注意が必要です。防犯カメラ本体がIP66以上であっても、ケーブル類との接合部や設置等に必要なオプション設備が同等の防塵・防水性能を備えていないケースもあります。そのような場合は防水テープで接合部を保護するなど、屋外設置に合わせた処理を別途行うようにしましょう。
i-PROの屋外用屋外防犯カメラはケーブル接合部がソケット形式になっているものもあり、水の侵入を防ぐ構造を採用しています。このような本体以外の箇所へも防水対策が施された機種を選定すれば、追加の処理を行うことなく屋外へ設置することができ、設置時の工数を削減可能です。
雨天時の視認性
高い防塵・防水性能で本体の故障を防いでも、肝心の映像がしっかり撮影できていなくては防犯カメラを設置した意味がありません。カメラのレンズカバー部へ水滴や汚れが付着してしまうと映像の視認性が大きく低下します。防犯カメラを屋外へ設置する際は、レンズカバーの表面に水滴や汚れの付着を防ぐ親水コーティングが施された機種を選定するなど、クリアな視界を保つための対策が必要です。
耐環境性
屋外に設置される防犯カメラは、屋内設置の場合と異なり設置環境の影響を直接受けます。直射日光が当たる場所や降雪地域、海のそばなど、気温や外気の状態が通常と異なる環境へ防犯カメラを設置する場合は、その環境に対応できる性能を持った機種を選定することが大切です。
日中常に日光にさらされ高温になりやすい場所や、降雪地域のような気温が極端に下がる時期のある場所へ設置する場合は、設置予定場所に適した使用温度範囲を持った機種を選ぶようにしましょう。
また、湾岸や沿岸地域への設置では、海風による塩害に留意する必要があります。このような重塩害・塩害地域へは、特殊な素材や塗装を使用した耐重塩害仕様のカメラを設置してください。加えて、屋外への設置では、台風時などの強風・暴風への備えも必要です。強風の中でも安全に動作できる堅牢性、耐風速性能はもちろん、振動による映像の揺れを防ぐ揺れ補正機能の有無などもチェックしたいポイントです。
5. 過酷な環境下でも安定した運用を可能にするi-PROの技術力
i-PROの屋外対応防犯カメラは、高い防塵・防水性能はもちろん、様々な屋外環境で安心・安全に使用できる耐久性・堅牢性を備えています。実環境以上に厳しい耐久試験をクリアするi-PROの耐環境性能をご紹介します。
高い防水性で雨や水に強い
i-PROの屋外モデルはIP66の防塵・防水性能に対応。i-PROでは開発過程において、防水規格等級6以上の目安である「毎分100リットルの水流をあらゆる方向から3分間放水し浸水を確認する」という基準から、さらにそれを超えたテストで防水性能を検証しています。さらに防水性能の高いIP67、IP68対応の製品もラインアップしており、設置環境に合わせた機種選定が可能です。
また、レンズカバーに施された特殊コーティング「アドバンスド親水コート」が、雨天時の雨粒や汚れの付着を防ぎ、視界をクリアに保ちます。
耐衝撃性/耐振動対策で衝撃・振動に強い
i-PROの屋外モデルは、意図的な破壊行為や、飛来物の衝突などにより、外部からある程度の大きな衝撃が加わっても稼働を続けることが可能な堅牢性、耐衝撃性を備えています。ドーム形のモデルでは本体部にアルミダイカスト、レンズカバー部にクリアカーボネイト樹脂を採用し優れた耐久性を実現。また、破損による撮影停止を防ぐため、レンズカバーが衝撃を受けると内部のレンズが自動的に沈みこみダメージを回避する特殊な機構も搭載しています。加えて、幹線道路脇などの連続的に振動を受けるような環境への設置も想定した機構設計も行っており、厳しい耐久試験を実施しています。
幅広い耐用温度/除湿素子搭載で高温・低温・多湿環境に強い
様々な設置環境に対応できるよう、i-PROの屋外モデルは低温環境から高温環境まで幅広い使用温度範囲を実現しています。最も耐用温度が広い機種では-50℃~65℃の環境で使用可能です。
時間帯などでの気温差が大きい屋外設置の場合、設置時などにドームカバー内側に入り込んだ湿気が外気とカメラ内部の気温差によりレンズやドームカバーの曇りの原因になる場合があります。i-PROの屋外モデルでは内部に除湿素子(ハードウェア)を搭載し、湿気による曇りを防止しています。この除湿素子は耐久性に優れ、製品ライフの間、交換を行う必要もありません。また、自動でピントを調整する機構を搭載しており、急激な温度変化によるパーツ類の微細な膨張や収縮、ズレなどによる焦点距離の変動があっても、常に鮮明な映像を撮影することができます。
耐重塩害対策で腐食に強い
i-PROの屋外モデルでは、潮風の当たる沿岸部や、冬場に融雪剤が撒かれるような道路沿線などでも設置可能な耐重塩害対策モデルをラインアップしています。耐食処理が施された素材に、耐食性塗料、耐候性塗料を重ね塗りすることでISO14993準拠の耐塩害仕様を実現しました。また、カメラ本体だけではなく、耐重塩害仕様の取付金具も各種取り揃えています。
以上より屋外設置に適したカメラとして、以下の条件を満たしたものを推奨します。
- IP規格(IP66以上)に準じた防塵、防水機能をもっていること
- 一時的に水没するようなことが考えられる場所では、IP67、IP68対応が必要な場合もある。
- 設置する場所の環境に応じて、最高、最低温度が設置可能温度範囲の中にあること
- 沿岸地域や融雪剤の撒かれるような地域では耐重塩害仕様のカメラが必要
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