ひとくちに「防犯カメラ」と言っても、形状や映像の録画方式、搭載機能は機種により異なります。そのため防犯カメラの設置を検討する際は、機種それぞれの特徴を知り、設置場所や利用目的に合ったものを選定することがとても重要です。本記事では、防犯カメラの種類や特徴、それによる運用の違い、機種選定時のポイントをご紹介します。
1. 防犯カメラの種類:形状による違い
防犯カメラの形状は大きく分けて、ボックス型、ドーム型、PTZの3つのタイプに分類され、形状それぞれに特徴があります。ここでは形状ごとの特徴や、適した運用をご紹介します。
ボックス型
店舗や屋外などでよく見かける、存在感のある形状の防犯カメラ。壁面などから突出して設置さることも多く、目立つ外観のため威圧感があり、犯罪抑止効果も期待できます。屋外対応のものは、雨風を防ぐフード付きのハウジング一体型のタイプが一般的です。ボックスタイプの防犯カメラは撮影方向が一方向固定のため、特定の場所を集中的にモニターしたいなどの用途、例えば店舗だと出入口やレジ上などで使用されるケースが多くなります。
ドームタイプ
丸形のドーム形状が特徴のカメラ。天井埋込設置が可能な取付金具などが用意されている場合もあり、目立ちづらく威圧感が少ないため、設置環境に調和しやすく、店舗やマンション、オフィスビルの共用スペースなどでよく使用されています。カメラ本体が丸形のドームに入っているため、撮影している方向がわかりにくく、カメラの死角を把握しづらいという特徴があります。ドームタイプの中でも、屋外への設置に対応したものや、狭い場所へ設置しやすいコンパクトサイズのものなど、設置環境ごとに選べるバリエーションがあります。
PTZタイプ
水平回転(パン=P)、垂直動作(チルト=T)、拡大縮小(ズーム=Z)の操作が遠隔から可能なカメラです。監視員が操作することで広範囲を自在に撮影できるため、リアルタイムでのモニタリング用途に適しています。1台で様々なアングルを確認できるので、カメラの設置台数を抑えた効率的な監視が可能です。登録された場所を自動で巡回したり、指定範囲を自動で回転させるような運用もできます。また、高い倍率の光学ズームを搭載した機種もあり、高い画質のままで必要な部分を拡大することができ、詳細な状況確認などが必要となるような場所でも運用にも適しています。昨今では、PTZ機能とAIを組み合わせ、検知した被写体を自動追尾(オートトラッキング)することが可能なカメラもあります。
ズーム機能がなく、方向転換のみのパンチルトタイプの防犯カメラもあります。
2. 防犯カメラの種類:録画方式による違い
防犯カメラは撮影映像の録画方式により、大別するとアナログカメラとネットワークカメラの2種類に分けることができます。ここでは記録方式ごとの特徴や、適した運用をご紹介します。
アナログカメラ
アナログカメラは防犯カメラ本体とモニター、録画機器といった周辺機器を同軸ケーブルで直接接続し運用します。撮影映像はHDDレコーダーなどの録画機器に記録・保存されるため、映像の確認は同軸ケーブルが敷設してある設置拠点内でのみ可能です。カメラ本体は比較的安価ですが、運用に際してはモニターやHDDレコーダーを設置したり、配線工事を行う必要があるため、その点でコストが発生する傾向にあります。高解像度化などの新たな技術も出てきていますが、標準化がされておらず、いくつかの仕様が乱立する状態にあって現状ではネットワークカメラが主流となっています。
ネットワークカメラ
ネットワークカメラはその名の通り、ネットワークに接続して使用できるカメラのことです。PCと同じようにLANケーブルでネットワークに接続して運用できることで、スマートフォンやPCで遠隔地からライブ映像を確認することができる機種もあります。レコーダー装置も同様にネットワーク接続となり、PCなどからも録画映像にアクセスすることが可能です。また、ネットワーク接続されたカメラは、多くの機種が制御、給電、映像・音声信号の伝送をLANケーブル1本で行うことができるため、カメラの設置場所ごとの電源工事を行う必要がなく、設置場所の自由度が大きくなります。
高解像度化や新たなAI技術の搭載などもスピーディーに展開されています。
3. 防犯カメラの種類:機能による違い
防犯カメラには、設置環境や用途に合わせた特別な機能・性能を持った製品が多数あります。ここでは、防犯カメラを選ぶ際にぜひチェックいただきたい機能・性能をご紹介します。
防塵・防水
防犯カメラを屋外へ設置する場合、ポイントになるのが防塵・防水性能です。防塵・防水性能はIP〇〇という形で示されます。防塵は1~6、防水は1~8の等級が定められており、数字が大きいほど性能が高くなるため、雨風やほこりにさらされる屋外用としてはIP66以上の防犯カメラを選ぶと安心でしょう。また、降雨時もクリアな視界を保つため、レンズカバー部に水滴の付着を防ぐ親水コートが施された防犯カメラもおすすめです。
低照度対応
24時間365日撮影し続ける防犯カメラには、明るい日中だけではなく、視認性の悪くなる夜間もハッキリ撮影できる能力が不可欠です。夜間撮影に適した防犯カメラには主に、高感度なイメージセンサーを搭載したタイプ、赤外線照明を搭載したタイプの2種類があります。高感度なイメージセンサーを搭載したタイプでは、街灯や夜間照明などのわずかな光源を捉えカラーの映像を撮影することが可能ですが、最低限の光源がそばにない環境では状態を視認できる映像を撮影することはできません。一方、赤外線照明搭載のタイプは本体から赤外線を照射し撮影するため、全く光のない暗闇でも撮影することが可能です。映像はモノクロですが、真っ暗な環境でも人や物の動きをはっきりと写すことができます。
光学ズーム
設置場所から離れた被写体を確認したい、車のナンバーや人の顔といった細かな部分も精細に撮影したいシーンでは、光学ズームを搭載した防犯カメラがおすすめです。撮影映像の一部を切り出し拡大するデジタルズームと異なり、光学ズームはレンズ部の機構で光学的にズームするため、画素数を低下させることなく鮮明な画質のまま拡大することができます。
全方位撮影
防犯カメラの中には、ドーム型カメラの一種として魚眼レンズなどの広角レンズの搭載により周囲360°を撮影可能なものがあります。1台で空間全体を捉えるため、人やものの動きを把握する運用に適しています。1台の撮影範囲が広いことから、少ない設置台数で死角を作ることなく撮影でき、効率的なモニタリングに貢献します。広い範囲を俯瞰できることから、人の動線やエリアごとの人の集まり方といったマーケティング要素の取得も可能となります。
また、広角レンズ特有の映像の歪みを補正する機能を搭載している機種では、通常のカメラのような見やすい映像で確認することができます。
動体検知
映像内での動きを検知する「動体検知機能」を備えた防犯カメラもあります。「動体検知機能」を搭載した防犯カメラでは、検知をきっかけに録画を開始する運用も可能です。異変があったタイミングだけピンポイントで映像を残せるため、録画データの容量を削減でき、録画映像を確認する際の負担も低減できます。また、動きを検知するとメールやアプリで管理者へ通知し、現場の様子を遠隔で確認できるものもあり、監視業務を効率的に行えます。
4. 防犯カメラを選定するポイント
ここまで防犯カメラの様々な種類、機能を紹介してきました。防犯カメラの設置を検討する際は、これらの特徴を選定の参考に、設置環境や目的に合った機種を選定していくとよいでしょう。
機種選定に当たっては、まず、設置場所とその特徴を明確にすることが大切です。設置予定場所の環境について、屋内/屋外、明るい/暗い、狭い/広い、といった視点で特徴を洗い出してみてください。それらの特徴を参考に、カメラの種類や必要な機能を絞り込むことができます。
また、設置場所だけではなく、防犯カメラで何がしたいのかという「設置の目的」も機種選定を行う上で重要なポイントになります。不審者の検知といった防犯目的であるか、それともモニタリング用途であるかなど目的によって適した防犯カメラは異なるため、その点にも留意して検討を進めましょう。
i-PROの防犯カメラは形状やサイズ、機能のバリエーションが豊富なため、多彩なラインアップから設置環境や目的に適したカメラをお選びいただけます。当社ブランドサイトで公開中のプロダクトセレクターでは、形状や必要な機能を選択することで、製品群の中から機種を絞り込むことが可能です。選択条件にない機能、仕様についても、結果から詳細な仕様の確認を行うこともでき、機種の検討時にぜひご活用ください。
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