
主に防犯、監視用途で使用されてきたネットワークカメラですが、昨今、介護の現場にも見守りカメラとして数多く導入され、入居者ご家族が遠隔で入居者の様子を確認できるなどのサービス品質の向上や業務効率化によるスタッフの業務軽減にも大きく貢献していることをご存知ですか?本記事では、介護・福祉施設でのネットワークカメラの活用方法、そして、導入検討の際に注意すべき点、実際の活用事例をご紹介します。
目次
1. 介護施設におけるネットワークカメラの活用
人手不足への対応や施設運営の透明性の確保など、現在、介護施設は様々な課題を抱えています。そのような介護の現場において、ネットワークカメラはどのように活用されているのでしょうか。
介護施設が抱える課題
少子高齢化社会と呼ばれるようになって久しい日本で、今後ますます必要になる介護福祉施設やサービス。しかし、他の様々な業種と比べても更に人手不足が慢性化しており、担い手の確保に加え、業務内容のさらなる改善・効率化、DXの推進が急務になっています。
また、昨今の様々な報道を受け、クローズな世界になりがちな介護の現場に「透明性」を求める声も高まっています。
厚生労働省の調査では、職員による入居者への虐待が令和4年度の1年間で約850件発生していることが示されており※1、一方で施設職員に対する利用者からのハラスメントも多数報告されている※2など、介護施設に不可欠な入居者の安心・安全の確保はもちろん、トラブルの抑止や、早期発見し対応できる体制の確立も必要とされています。
※1【令和4年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果】より。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000196989_00025.html
※2 参考:介護現場におけるハラスメントへの対応に関する調査研究事業 報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/12305000/000947335.pdf
介護施設におけるネットワークカメラの設置目的
様々な課題を抱える介護の現場において、ネットワークカメラは見守りの強化や、現場の見える化、そして職員の業務改善・効率化に貢献しています。
ネットワークカメラはネットワークを通じて遠隔からでも入居者を見守ることが可能です。複数箇所のカメラ映像を一括で確認することで、見回り業務の効率化を図ることができます。その録画データは、入居者のご家族への報告や万が一のトラブル時の状況確認、そして業務改善を検討する上での検証データとしても利用できます。AI搭載のカメラを使うことで、通路上にものが放置されているなどの危険な状況を検知して事故を未然に防ぎ、暗所撮影が可能なカメラで夜間もしっかり撮影して見守りを途切れさせないなど、人の目、力だけでは難しい見守りを行うことが可能です。
2. 介護施設に見守りカメラを導入する具体的なメリット
24時間365日撮影、録画し続けられる、複数のカメラ映像を離れた場所から確認できる、暗い場所もしっかり撮影できる、といったネットワークカメラならではの特長。これらを活かした運用により、カメラは介護の現場に様々なメリットを提供します。
見守り業務の省人化
ネットワークカメラは、施設内各所に設置された映像を遠隔で一括確認・管理することが可能です。パソコン、スマートフォンを用いて離れた場所からでも各所の状況を確認できるため、定時の見回り回数の削減など、見守り業務の効率化を図ることが可能です。利用者からの呼び出しがあった際も、先に映像を確認することで人員を適切に配置できるなど、少人数オペレーション時の負担軽減にもつながります。
入居者ご家族への安心・安全の提供
カメラの映像はネットワークを通じて遠隔で確認可能なため、入居者のご家族にもリアルタイムで施設での様子をご覧いただくこともできます。現地に赴かずに、いつでも、どこからでも普段の状況を確認でき、ご家族に安心を届けられます。
夜間徘徊の早急な検知と状況確認
老人ホームなどの介護施設では24時間365日の見守りが必要です。ネットワークカメラは、人の目では見守りが難しい、夜間の屋外や照明が落ちた屋内など暗い場所もしっかり撮影することが可能。低照度下でもカラー撮影ができるため、入居者の服装の特徴まで写すことが可能です。撮影した映像から夜間の行動を把握、分析し、日々のケアやオペレーションに活かすことはもちろん、万が一利用者が施設外へ出てしまった際には、関係各所への迅速な情報提供にも役立てられます。また、赤外線照射機能付きのカメラでは、全く明かりの無い場所も撮影できるため、より死角の少ない見守りを実現可能です。
虐待や入居者トラブルの抑止・盗難防止
日々の施設内の様子を映像で記録することは様々なトラブルの抑止、そして問題が起きてしまった際の迅速で正確な対応につながります。たとえば、入居者の体に傷が見つかるなど何らかのトラブルが疑われる場面でも、録画映像を確認することで、誤って転倒してできた傷であるか、職員や他の入居者によって故意につけられたものであるか、客観的に判断できます。入居者だけでなく、トラブル発生時の職員の方々の対応に問題がなかったことを証明することもできます。映像と音声を一緒に記録できるカメラもあり、トラブル発生時の状況をより正確に把握可能です。また、録画データの検索、取り出しも容易なため、外部への情報提供をスムーズに行えます。
密状態の検知と回避
事前の設定に基づき、蜜状態を検知するとアラームで管理者にお知らせします。コロナウィルスやインフルエンザの流行などに注意する必要がある人が集まりすぎている状態をAIカメラが自動で計測して教えてくれます。

3. 介護施設でのネットワークカメラ導入の注意点
確かな見守りの実現や、職員の業務改善・効率化をサポートするネットワークカメラ。しかし、その場にいる人の様子を撮影し記録するものであることから、設置に際しては入居者とそのご家族、職員の両方に対する配慮が大切です。
プライバシーへの配慮
見守り目的の設置であっても、人の行動や様子を撮影・記録する以上、まず大切にしたいのはプライバシーへの配慮です。カメラの導入に当たっては、運用に関するルールをしっかり定め、撮影した映像や音声の利用目的・用途を入居者やご家族にご理解いただくようにしましょう。音声録音を行う際には録音についても事前に説明し了承を得るなど、撮影される側や利用者のご家族に不安を抱かせない運用を心がけることが肝心です。
スタッフへの配慮
カメラは入居者だけでなく働く職員の様子も撮影します。そのため、カメラの設置により職員が「監視されている」感覚になり、業務に対するプレッシャーを感じてしまう可能性があります。職員に安心して業務に取り組んでもらうために、利用者だけではなく職員に対してもカメラの利用目的や業務上のメリット、客観的な証拠を残し、訴訟リスクに備え「職員を守る」という側面からの導入の意義を説明し、 しっかりと理解を得ることが必要です。また、小型のモデルなど威圧感の少ない形状のカメラを導入すれば、視覚的な威圧感を低減させることもできます。
4. 介護施設で活用されているi-PROのネットワークカメラ・サービス
入居者の見守り、職員の業務効率化に役立つ様々な機能、そして高い信頼性を備えたi-PROのネットワークカメラは、すでに多くの介護施設に採用されています。ここでは介護の現場で活躍する代表的なi-PROのカメラ、サービスをご紹介します。
i-PRO Remo. クラウドカメラサービス
各拠点に設置されたネットワークカメラの映像を、クラウドサービスを使いスマートフォンやパソコンから遠隔で一括確認・管理できるサービスです。人数カウントやその結果の見える化をはじめとした、最新AIによる解析を手軽に利用できる「TrAI(トライ)」も標準サポートしており、業務の改善、効率化に貢献します。
i-PRO Remo. を導入することで離れている拠点や外出先などどこにいても現場の状況を把握することが可能となります。1ユーザーで1000台までのカメラを統合管理し、最大10ユーザーが同時閲覧できるため、複数の職員様による効率的な見守りを実現します。


i-PRO mini
コンパクトなボディに、当社スタンダードモデルと同等性能のAIプロセッサーを搭載した小型AIカメラです。業界最小クラス※の大きさ、かつカメラと分かりづらいデザインのため、カメラの存在を目立たせたくない環境にも設置しやすいです。名刺より一回り小さい、環境に調和するコンパクトボディのi-PRO miniシリーズは、カメラの存在を意識させにくく、入居者のストレスを最低限に抑えながら、見守りと安全確保のための常時モニタリングの両方を実現します。電源はUSB給電、映像は無線伝送に対応しており、クランプ・クリップ・磁石などでの場所を選ばず様々な場所に設置できることから、工事のコストも削減できます。
※2021年12月当社調べ

全方位カメラ
1台で周囲360°を撮影可能なカメラです。空間全体を捉えるため、全体像の俯瞰、人やものの動きを把握する運用に適しています。また、1台で広範囲を撮影できるため、カメラの設置台数を削減することもできます。i-PROの全方位カメラの多くは本体にAIプロセッサーを内蔵しており、カメラ側で高度なセンシングが可能です。また、高精度の人数カウントや禁止エリアへの侵入などの動体検知を行うことができます。
全方位カメラの映像は、魚眼レンズによる円形になり、そのままでは部分ごとの詳細を把握しづらい場合もありますが、独自の3Dデワープ機能で通常のカメラと同じような見やすい映像に変換して見ることも可能です。
全方位カメラを中心に施設全体を死角なくカバーするようにカメラを設置した現場では、デイサービスの利用人数やスタッフ配置など現場の状況を遠隔で確認することで、業務の効率化を実現した例もあります。

AIカメラ
i-PROのネットワークカメラには、本体にAIプロセッサーを内蔵している機種も多数あり、専用のアプリケーションを追加することで、カメラ本体で撮影する映像から様々な状況変化や危険が予想されるような状況などの検知を行うことができるようになります。アプリケーションには、動体検知や人数カウントなど様々な種類があり、用途や目的に合わせた運用が可能です。玄関や共用スペースなど場所に応じて人数カウントの仕方を変えることができ、利用状況に応じた職員様の対応をサポートします。


5. 導入事例
i-PROのネットワークカメラをご活用いただいている現場の声をご紹介します。
遠隔モニタリングで業務効率とサービス品質を向上(株式会社ウェルオフ様)

地域密着型の介護福祉サービスを展開する「株式会社ウェルオフ」が運営する高齢者住宅「エクラシア新座」に、i-PRO Remo.が採用されました。本部拠点や外出先から遠隔で現場の様子を確認できるようになったことにより、大幅な業務の効率化を実現。また、映像を参考にした業務の改善活動も活発に行われるようになり、サービスの質の向上につながっています。
i-PRO製AIカメラ導入により、見守りAIシステムが進化(株式会社モルフォAIソリューションズ様)

株式会社モルフォAIソリューションズ様が開発した、画像解析AIソリューション『みまもりAI:Duranta』のシステムにi-PROのAIネットワークカメラが採用されました。転倒検知、車椅子/白状/ベビーカー検知など、介護施設をはじめ、様々な現場にお役立ちを提供する各種機能をパッケージ化し提供しています。
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